2019/8/6

膨らむインバウンド市場でメリットが大きい免税店。 条件を満たせば小規模店でも申請が可能

日本各地で増えているTAX FREEの免税店。2019年4月1日現在の免税店は5万198店で、ついに5万店を超えた。そのうち東京都が1万3131店で突出して多い。

少子高齢化で国内の消費は今後縮小していくがインバウンド市場は右肩上がりで伸び、2018年の訪日外国人数は3119万人に達した。消費も活発で2018年の消費額は4.5兆円にのぼり、そのうち34.9%(観光庁・訪日外国人消費動向調査2018年年間値)が買物による消費であった。

“東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会”に向け、日本の情報が世界各国で報道されて注目が高まり、ますますインバウンドは増えるであろう。この好機に魅力あるインバウンド市場に参入するには免税店化が急務だ。

条件を満たしていれば、小規模店でも免税店化が可能

免税店とは、所轄の税務署から許可を得て、外国人旅行者などの国内非居住者に対して消費税を免除して商品を販売できる店舗だ。以前は免税対象商品が家電、衣料品、かばんなどの一般物品に限られていたが、2014年に食料品、医薬品、化粧品などの消耗品も含まれるようになり、免税店の数が飛躍的に増加した。

現在は、同じ人が同じ日に、同じ店舗(委託型では、合同する店舗の合算)で一般物品、消耗品合わせて5000円(税抜き)以上の買物をすると、消費税が免除される。

免税店になるには消費税の課税事業者であること、国税の滞納がないことなどいくつかの条件があるが、条件を満たしていれば規模に関係なく申請が可能だ。申請にあたっては、申請書に必要書類を添付し、店舗を管轄する税務署に提出して税務署長の許可を得る。

一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会 吉沢勉氏

一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会 吉沢勉氏

少し面倒だと思うかもしれないが、日本のショッピングの魅力を世界に発信する、一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)理事の吉澤勉氏は、「申請書の記載は難しいものではなく、添付書類も税務署のホームページや東京観光財団が運営するWebサイト<免税店支援公式サイト>などから無料でダウンロードできるものもある。今は書類審査だけなので書類さえ整っていれば早ければ2週間程度で許可が得られ、費用も掛かりません」と話す。

集客と売上げがアップ。競合との差別化や地域活性化の効果も

免税店になると、どのようなメリットがあるのだろうか。

第一に、店頭や店内に免税店のシンボルマークが掲出できて「インバウンド歓迎」の目印となる。免税店で買えば5000円の購買で400円、1万円の購買で800円安くなるので、同じような商品を購入するなら免税店で買おうと考えるのは当然だ。特にお土産として人気が高い、菓子、化粧品、医薬品などはこのような傾向が強い。

第二に、近隣に免税店ではない競合店がある場合、免税が強みとなって差別化が図れる。逆にいえば自店が非免税店で、そばに免税の競合店があればインバウンドはそちらに流れてしまう可能性が高いということだ。

第三に、免税を受けるには5000円以上の買物が必要なため、買物総額が5000円に満たない場合は買い増しをするケースが多く、客単価も上がる。

第四に、免税店のシンボルマークを見た訪日客が店舗や商品をSNSで情報発信し、拡散されて新規客が獲得できるメリットもある。

第五に、地域に免税店が増えるとTAX FREEエリアとしてアピールできるので、地域にインバウンドを誘客できて活性化が図れる。

そして第六として、国内の景気が冷え込んでもインバウンドの売上げが見込めることで、経営が安定する。

店内で完結する一般型と、合同で免税カウンターを設ける委託型

免税店には一般型と委託型があり、免税店申請時にどちらにするのかを申告する。

一般型とは、各店が店内に免税カウンターを設けて、販売から免税手続きまでを行うものだ。

店内で全てが完結するが、以下の免税手続きのオペレーションが必要になる。

  • ① パスポートなどの提示を受け、非居住者であることを確認
  • ② 購買商品と、その合計が5000円以上であることを確認
  • ③ 購入記録票を作成しパスポートなどに貼付
  • ④ 精算時に消費税分を還付
  • ⑤ 商品手渡しの際、消耗品は国内での消費防止のため封緘パックに入れる

というのが一連の流れで、煩雑そうだが「慣れれば10分くらいで完了します」と吉澤氏。免税手続きソリューション会社からパスポートを読み取るツールなどの提供を受ければ、手間が大幅に省ける。POSレジ導入店であれば、POSレジのオプションとしてツールの提供を受けられることもある。

一方の委託型は、商業施設や商店街などに所属する免税店が合同で免税カウンターを設置し、そこで委託された第三者が免税店全店の免税手続きを行うものだ。買い物客は複数の店舗の購入品の合計金額が5000円以上であれば免税を受けられるので、店舗は少額でも免税販売が可能だ。商品と購入品の明細が分かるレシートを渡し、合同の免税カウンターを案内すればいいので販売時の余分な作業が発生しない。

合同の免税カウンターに関わる費用を各店で分担するケースもあるが、商業施設や商店街が一括して負担するところも多いようだ。

免税店のメリットを生かすには店舗と商品の魅力がポイントに

このように、意外に申請が簡単でオペレーション負荷も少なく、それでいて集客や売上アップなどメリットが大きい免税店だが、シンボルマークを掲出したからといって何もせずにインバウンドで繁盛するわけではない。

「メリットを生かす最大のポイントは、店舗や商品に魅力があることです。接客に関しては、外国語が話せない場合も多言語ツール等を活用して、積極的に話しかければコミュニケーションを図ることができ、購買につながる」と吉澤氏。

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免税店で成果を上げるには自店の商品を見つめ直し、訪日ゲストにどうアピールするのか、ディスプレイやPR方法、販促物などを工夫することと、歓迎の意が伝わる親しみのある接客が必要であることを心得ておきたい。