2019/8/30

「小澤酒造株式会社」
【酒蔵ツーリズムで、お客様とふれあいを求めて、海外にも日本酒の魅力を発信する。】

小澤酒造株式会社は、東京都青梅市にある元禄15年(1702年)創業の酒蔵です。お客様とのふれあいを求めて40年前から酒蔵をめぐる見学ツアーを実施して、日本酒の魅力を発信しています。また、ここ数年増加している外国人旅行者向けに、澤乃井ガーデンギャラリー内の売店では消費税・酒税の免税対応を行っています。今回は小澤社長、総務の山崎部長のお二人に、免税店にしたきっかけや訪日旅行者の状況、今後の展望を伺いました。

総務部長 山崎健治さんと 代表取締役社長 小澤幹夫さん

ガーデンギャラリーにあるショップ

−現在のインバウンドの状況を教えてください。

山崎さん:ここ数年、日本にやってくる海外からの旅行者の増加に伴い、当社への来店者も増加傾向にあります。売店での免税品の販売額は売上の5%程度です。多い時で月に10件から20件、一人あたりの単価は5,000~10,000円です。園内の「きき酒処(有料試飲コーナー)」で試飲して気に入ったお酒をお買い求めになる方が多いです。国別では英語圏(欧米)の方が多く、最近ではアジア(タイ、ベトナム)のお客さまも増えてきています。購入される商品で多いのは、薫り高くすっきりした味わいが人気の「澤乃井大吟醸酒」や「澤乃井純米吟醸酒」、東京の名前を冠した「東京蔵人」などです。

ショップスタッフ

−制度導入の経緯をお聞かせください。

山崎さん:当社はもともと40年前から「観光酒造」と銘打って、お客様に酒蔵見学を通じて、日本酒の魅力を感じてもらう取り組みを行っていました。2020年のオリンピック開催などもあり外国人旅行者の増加も想定して、2017年12月に消費税の免税対応を始め、2018年8月から酒税の免税対応を開始しました。

免税告知POP

免税処理済の専用梱包

一度封した後に開けてしまうと「OPEN VOID」文字が現れ、二度と封ができない仕組み

-制度導入までのご準備や、お客様への対応方法についてお話しください。

山崎さん:導入に際しては税務署での説明を受けただけで、ほぼ手探りでスタートしました。導入当初は、同業者でもあまり取り組んでいるところがなく、疑問点などがあれば、税務署に問い合わせたり、お客様との対応で発生した事案を従業員同士で共有しながら、対応してきました。

-制度導入前と導入後ではどのような変化がありましたか?

山崎さん:免税対応の店であることを示す表示やツールを準備したものの、すぐには成果が出ませんでした。お客さまも制度を十分理解していないことや、購入してから商品をお渡しするまでの時間がかかる、という問題点もありましたが、担当者が中心となって免税手続の手順書や手続きのための表現集、商品説明の多言語表記を作成し、説明を簡潔にするなど工夫を行ってきました。その結果少しずつ認知されて、売上にも変化が出てきました。

免税手続対応手順書

免税手続き用表現集

-売上げ以外にどのような効果がでてきましたか?

山崎さん:酒蔵の見学者向けに「英語の案内パンフレット」を作成し、配布したことで、見学者の方が口コミやSNSで知人に発信して、来日された際に「友人から教えてもらって訪問した」という声も聞こえるようになって、来店者の増加につながっています。

酒蔵見学用パンフレット(英語版)

パンフレット内容(英語版)

きき酒処メニュー(英語版)

-これまで免税販売をされてきた中での工夫などを教えてください。

山崎さん:通常販売と異なり、書類作成等の手続きが必要なので、現在使用している5台あるレジの内、1台を免税対応用に使用し、簡単に帳票を出力する仕組みを導入して、お客様をお待たせしないよう配慮しています。外国のお客様は、現金よりクレジットカードの利用が主で、近年中国のお客さまも増えており「銀聯カード」にも対応しています。お客様が混乱しないよう、ショーカード(値札)は日本語、英語に分けて設置しています。最近は翻訳アプリ(ポケトーク)を使用してこちらから声がけを行うことで、お客様とのコミュニケーションもスムーズにできるようになっています。

免税対応ポスレジ

上段:消費税・酒税免税前価格を表示
下段:消費税・酒税引き後の価格を表示

酒税免税対象商品には全て両方を併記

-日頃心がけていることや、その他の取り組みについてお聞かせください。

山崎さん:現在もそうですが、基本的にはお客さまにご不便をかけないようにスムーズな対応をすることを心がけていくことです。また、より多くの外国人旅行者にご来店いただいて、日本酒の魅力を知ってもらい、当社への関心、さらには日本への関心を高めてもらいたいと考えています。当社の日本酒を海外へ展開していく取組も行っており、輸出用に出荷している「東京蔵人」は、前年比で200%と伸ばしています。また最近は併設している食事処「豆らく」を7月にリニューアルし、そちらのメニューも、きき酒メニューと同じように外国語(英語)併記対応も開始しました。

酒造見学と大自然を楽しみにやってくる欧米からの訪日ゲストが目立つ

人気の「東京蔵人」