2019/9/18

「やまとなでしこ」
【文化体験を“モノ消費”に繋げて外国人客をリピーターに】

路地に料亭などが立ち並ぶ神楽坂

大正時代には花街として栄え、大正、昭和の文豪が愛した情緒豊かな街並みが今も残る神楽坂は、山手線のほぼ中心に位置し、料亭やおしゃれなレストランが集まる大人のスポットとして人気が高いエリアです。その一角にある「伝統的なもの」から、「進化した新しいもの」まで扱う風呂敷のセレクトショップ『やまとなでしこ』代表取締役の菊田さんにお話を伺いました。

代表取締役 菊田 圭子さん

−お店のインバウンドの状況を教えてください。

菊田さん:神楽坂を訪れるインバウンドのお客様は、団体客が多い谷根千エリアや浅草などとは異なり、ガイドさんをつけて来店する個人客が目立ちます。欧米やアジアなどからのお客様が多いです。ガイドさんの中には毎週のようにゲストを連れて来てくれる“常連”もいらっしゃいます。
それと、神楽坂近辺には大学や企業などに勤務する外国人研究員や教育従事者の家族も多く、自宅用や帰国の際のお土産用に買い求められます。また母国から友人や親戚が来日した際にも店に連れてきてくださいます。

−どのようなお土産が喜ばれますか。

菊田さん:風呂敷は、かさばらないので帰国するときのお土産に大変喜ばれています。また、特別な方への贈答品として桐箱に入れて水引に模したひも結びの包装は好評です。逆に環境意識の高い国から来たお客様の中には、「包装は必要ない」と言う方もいます。どちらもお客様とお話しながらご要望を伺います。

桐箱入りの和風の包装はお土産に大好評

-お店の人気商品を教えてください。

菊田さん:人気商品は、風呂敷と扇子小物です。特に正絹(絹100%)の風呂敷をスカーフにする方が多いです。また、欧米の方は大きい風呂敷を壁に飾ったり、額に入れたりして、インテリアとして購入する方も目立ちます。アジアの方には干支ものも人気です。

素材、機能別に風呂敷がコーディネートされ華やかな店内

扇子も人気のアイテム

浮世絵などの風呂敷をタペストリーや額に入れて飾るのが人気

-年間を通してご来店のお客様の特徴を教えてください。

菊田さん:はい。桜のシーズンにはさまざまな国から多くのお客様がいらっしゃいます。また旧正月にはシンガポールの方、夏休みシーズンには日本の大学で講義をするため来日した海外の大学教授などもいらっしゃいます。興味深いところでは日本武道館が近いので武道のイベントのために来日した方が立ち寄られます。風呂敷と武道に共通する和の文化によるものなのでしょうか。

-免税制度導入の経緯と導入当初の様子を教えてください。

菊田さん:以前から外国人客は多かったのですが、東日本大震災のあと在住外国人が帰国してしまい、旅行客も減ったことで、外国人のお客様の数が大きく減少してしまいました。
 そこで2014年以降、免税対象品目の拡大や免税対象となる最低購入金額の引き下げなど免税制度が拡充されたのを契機に、免税対応を開始しました。管轄の四谷税務署に申請を出し、自力で免税手続きをスタートさせたのですが、実際にやってみると、手書きの書類作成が面倒で、特にローマ字以外の馴染みのない言語のパスポートの場合、とても手間がかかりました。そこで、タブレット型端末を使ってパスポート情報を読み込み、書類作成する”免税書類発行サービス”を取り入れたところ、面倒な書類作成が迅速かつ正確にできるようになりました。アプリケーションをダウンロードするだけで、登録から運用まで手続きも簡単で、すぐに使用できます。

タブレットであっと言う間に免税手続き書類が完成

レジ周りにはキャッシュレス・免税対応の表示・免税手数料のPOP

-免税導入後、何か変化はありましたか。

菊田さん:免税対応を始めてから、客単価が上がりましたし、何度も来日する機会のあるリピーターのお客様も増えました。それと、あと少し足せば免税対象額になる方にお声掛けするとほとんどの方が追加で買物をされます。また、長期滞在の方は、滞在中に何回も足を運んでお買物してくださる方もいて、当店の「リピーター」の増加につながっています。

-お店の課題をお聞かせください。

菊田さん:東日本大震災のあと、減少していた外国人客の数は回復し、当店の売上は震災前以上に戻りましたが、その後、買物にお金を掛けるよりも体験型の施設に足を運ぶ人が増えている最近の傾向もあってか、顕著な増加までは見られません。

-インバウンド市場において注目されている『モノ消費からコト消費へ』の影響ですか?

菊田さん:そうですね。消費の傾向が「コト消費」へと移っているのではないかと思います。そこで、以前、外国人客に風呂敷の包み方を教えて好評だった経験から、今後は店内で包み方教室を開こうと企画しています。また若い人にも風呂敷への関心を高めてもらおうと、来日中の米国やアジアの学生に対して、大学で風呂敷についての講義をしました。その後、お店に買いに来てくれた学生もいました。その他にもお買上げの方には、風呂敷の歴史や包み方などを私達でまとめたオリジナルのリーフレットをお渡ししています。また店内のPOPを増やして、素材や包み方の説明を英語表記しています。
 店には英語やフランス語、中国語ができるスタッフもいますし、東京商工会議所が発行している多言語とイラストによるコミュニケーションシートも用意して、外国人のお客様が安心して買い物が楽しめるよう工夫しています。

素材説明や風呂敷の包み方を英語で紹介

風呂敷の包み方例を陳列

菊田さんの風呂敷の活用術は素敵です