2019/11/12

今からでも間に合う免税店化!消費増税を追い風に

2012年以降、日本を訪れる外国人数(インバウンド)は右肩上がりで伸びており、2018年は過去最高の3,119万2,000人(JNTO調べ)にも及び、消費も相変わらず好調だ。この10月に消費増税が実施されて国内消費の低迷が懸念される中、免税店で所定の方法で買物をすれば、消費税が免除されるインバウンド市場には大きな期待がかかる。免税店はもちろん、まだ免税店になっていない店舗にとっても今は免税店化の好機だ。免税の歴史や仕組み、消費増税後の免税店のメリットなどを全国免税店協会 副会長で株式会社J&J Tax Free社長の大本昌宏氏にうかがった。

免税制度は2014年以降、「使い勝手よく」毎年改正

大本氏によると、日本の免税制度(TAX FREE)は、世界一古いと言われており、ぜいたく品にかかる物品税を免除する仕組みとして1952年に作られた。そして1989年、消費税の導入に伴い物品税が廃止され、免税制度は消費税の免税という形で存続。当初は3%だった消費税率は、その後、段階的に引き上げられ、この10月に10%となった。

全国免税店協会は、消費税導入が検討されていた1985年に免税制度の維持の要望を取りまとめる「輸出物品販売場等税務懇話会」として発足。2014年、「全国免税店協会」に名称を変更した。

全国免税店協会 副会長 大本昌宏氏

同協会の主な事業は免税店の拡大、適正な制度運用と浸透、調査・提言による税制への協力、税制に関する講習会の開催や問い合わせへの対応、免税店許可の取得サポートなどである。

日本の免税制度は2014年に対象品を「一般物品のみ」から「消耗品」にも拡大したのを皮切りに、毎年改正が行われている。現在は、一般物品、消耗品を合算して5,000円以上購入すれば免税が受けられるので、ハードルがかなり下がった。

大本氏はこの動きについて、「消費税の免税制度がスタートした当時は、訪日客はまだ少なく、免税店は一部エリアに集中していた。しかし、その急激な増加に伴い、買い物する側にとっての使い勝手を良くする一方、店舗の業務負担が軽減するように制度を改善し、免税店化を推進してきた」と説明する。

これにより、訪日客の消費が促進され、免税店の数も増加。今年4月には、全国でついに5万店を突破した。

8%⇒10%の消費増税で、インバウンドはさらに2%お得感が増幅

免税店化の最大のメリットは、同じ商品が非免税店より消費税分安く購入できるため、インバウンドの集客が期待できることだ。さらに大本氏は、別の視点からメリットを指摘する。「欧州では、いったん税込みで買物をし、出国時に税関でチェックを受けた後、付加価値税(日本の消費税に相当)が還付される仕組みだが、日本は購入時に、お店で消費税が免税される独自の方式をとっている。その場で“割引”となるのでお得感があり、余分に買物をしてくれるのも大きなメリット」。

そのお得感がさらに増すのが、10月に実施された消費税の引き上げだ。大本氏は、「国内居住者にとっては2%の増税になるが、免税店で消費税が免税される訪日客にとっては、その2%分が“おトク”になることから、免税店に足が向く。販売機会の拡大と買い増しが期待できる」と話す。

訪日客を誘客し、免税店のメリットを生かすには事前準備が重要

ただし、免税店だからといって、黙っていれば訪日客がどんどん来店するわけではない。「免税店のメリットを生かすには準備が必要で、何もしないとせっかくのチャンスを逃してしまう。準備は早ければ早いほどいい」と大本氏は言う。

海外からの訪日客は、日本に来る前にインターネットなどで情報収集をしてくるので、「自店が免税店であることや、扱っている商品の特徴、店舗の魅力を、SNSを活用してPRし、日本に着いたらあの店に行きたいと思わせる。そして実際に来店したらプレゼントがもらえるなど特典を用意するといった“お客様を呼び込むルート”を確立しておくことが重要」と大本氏。

また店頭の目立つ位置に免税店のステッカーを掲出して、外国人客を店内に誘導すること。海外、特に中国はキャッシュレス決済が当たり前なので、合わせて可能な決済手段を示しておくことも大切だ。

さらに商品構成によっては軽減税率への対応が求められるため、その知識も必要となる。

おもてなし文化に自信を持ち、ショッピングエクスペリエンスの提供を

大本氏は、「楽しいショッピングエクスペリエンス(買物体験)の提供も重要」とアドバイスする。

「日本での買物は、“モノ消費”だけでなく“コト消費”の一面もある。日本には素晴らしいおもてなし文化があり、自信を持って、日頃の接客サービスを行えばいい。言葉が通じなくても、価格はメモや計算機で示せば分かり、必要な会話を指さしで示せるシートを準備するのも一つの方法」と語った。素晴らしい接客に感銘を受ければ、SNSで発信してくれ、口コミ効果も期待できる。

今後の免税制度については、2020年4月から、1年半の猶予期間を設定して、免税手続きの電子化が決まっている。それにより、手続きが簡略化され、時間も大幅に短縮される。もちろん、電子化に伴うシステムの導入が必要で、POSレジを使用している店舗はそれに付加することが可能だ。中小の事業者に対してはキャッシュレス化を含めて、POSレジ導入の補助金制度などもある。また「J&J Tax Freeとしては、スマホで使える電子化対応のアプリも準備中」と大本氏。

今後も、免税制度はさまざまな改正が予測される。先日は、観光庁と財務省が2020年の税制改正要望の中に、お土産などのグッズを販売する「自販機型」免税店を認める方向で検討に入った。

最後に大本氏は「分からない点は、われわれのような免税に関わる事業者に相談したり、講習会に参加したりして、万全の準備をしてほしい」として引き続き、店舗の免税店化をサポートしていくと語った。