2019/12/2

サブカルの聖地・秋葉原 豊富な品揃えとオリジナル商品で訪日客に人気の店

日本最大の電気街であり、アニメ、漫画、コスプレなどのサブカルチャーの聖地でもある東京・秋葉原。今や日本のアニメ文化は世界各国で人気が高く、秋葉原は訪日客が行きたい街の一つとなっている。

JR秋葉原駅・電気街口側は、外国人を意識した派手なイラストと、中国語、英語などで「歓迎」の意を表す看板を掲げたアニメ専門店が立ち並ぶ。その中で、表通りから一本入った通りに面した「コトブキヤ秋葉原館」は、ホビー関連商品の品揃えで他を圧倒する店舗であり、「買いたいモノ」の目的意識を持って来店する訪日客が多い。

「いるだけ」で楽しい店舗目指す

同店のルーツは、1953年に立川市(東京)で創業した玩具店だ。その後、プラモデル、フィギュア、雑貨などの企画・製造に業務を拡大。現在は、株式会社壽屋(ことぶきや)として立川、秋葉原、大阪に直営の3店舗とネット通販を展開する一方、メーカーとして自社ブランドの商品の製造と卸売り、さらにOEM(他社ブランド名による製造)も手掛ける。

秋葉原駅から徒歩3分の「コトブキヤ秋葉原館」は旗艦店で、秋葉原の別の場所で営業していた店舗が2011年に移転してオープンした。

3階には自社のオリジナルコンテンツが並ぶ

ビル一棟の大部分が店舗で、1階~3階が物販フロア、4階と5階がイベントフロアになっている。

1階は、一般的にも人気が高いスタジオ・ジブリ、ポケモン、スター・ウォーズなどのアニメ・キャラクターグッズや、秋葉原のお土産品を販売する。2階は、『テイルズ オブ』シリーズや、コアなファン向けのアニメ・キャラクターグッズを品揃え。3階は、自社オリジナルコンテンツのプラモデル、フィギュアなどが並び、「フレームアームズ」、その美少女版の「フレームアームズ・ガール」や「メガミデバイス」などが人気だ。また、コトブキヤのショップ限定の色使いの商品や限定パーツなどマニア垂涎(すいぜん)の商品も多い。

物販の3フロアには、可愛らしいグッズ、細部まで作り込まれたフィギュアやキット化されたプラモデルなどの商品がびっしり並び、マニアでなくてもワクワクしてしまう。

店長の南将明氏

「秋葉原のどの店舗よりも品揃えが豊富で、お土産用から、他店にはないオリジナル、やや尖った商品まで揃っているのが強み。モノを買うだけでなく、お店に来るだけで楽しい空間を目指しており、観光客からマニアまで、時間を忘れて楽しんでいただきたい」と店長の南将明氏は思いを語る。

スマホのアプリ活用で免税処理が5分で完了

スマートフォンのアプリで免税処理が簡単に行える

同店は今年6月、訪日客など非居住者に消費税を免徐して商品を販売できる免税店(TAX FREE)の許可を得た。

訪日客が多く集まる秋葉原には、対象品目が消耗品にも広がるなど免税制度が拡充された2014年以降、免税店が増加しており、同店の対応はやや遅い気はするが、その理由について南店長は「免税店化の必要性は感じていたが、休日は店内を歩くのも困難なほど混み合い、レジには長い列ができるため、レジでの免税処理の手間を考えて二の足を踏んでいた」と話す。

それでも免税店化に踏み切ったのは、スマートフォンのアプリで簡単に免税処理ができるシステムの提案を受けたからだ。

手作業で免税処理を行う場合、パスポートの提示を受けて免税対象者であることを確認した上で、購入記録票などの免税書類を作成して、パスポートに添付するという流れになる。だが、スマートフォンのアプリを使えば、パスポートをカメラ機能で撮影することで必要事項が自動入力された購入記録票がプリントアウトできるので、書類作成の煩雑な業務を省ける。

「当店は、フロアごとに精算するので、免税処理ができるスマホを、1階に2台、2階と3階に各1台用意し、通常の買い物客とレジを分けずに精算しているが、免税処理が5分程度で済み、負担にならない」と南店長。

免税店化する前の準備も万全だった。申請手続きに関しては、本社の店舗支援チームが担当。店舗スタッフに対して、制度の概要やレジでの手続きなどの勉強会を実施した。そして、免税店となってから1週間は支援チームが店舗に常駐してサポートしたため、大きな混乱も生じなかったという。POSレジには免税対象品があらかじめ設定されており、会計時に所定のボタンを押すと、対象品のみ免税処理がされるので、レジでの作業も簡単だ。

さらに同店では、免税処理の業務負担をより軽減する工夫もしている。免税する際は、客の購入商品を「消耗品」と「一般物品」に分け、消耗品は国内で使用できないよう梱包しなければならないが、この店では、プラモデル制作に使う塗料など消耗品を全て「免税対象外」にし、免税対象を一般物品に絞ったのだ。

免税制度を知らない買い物客も多いが、免税店化で客単価が上がる効果も

同店は、店頭に免税店であることを示すポスターを掲示しているが、それだけで格段に訪日客の来店が増えたわけではない。
「秋葉原に来る訪日客は、いろいろな店を見て回る人と欲しい商品がある店に直行する人が半々。当店は、事前に調べて、目的意識をもって来店する人が多く、買い物をしたら、たまたま免税店だったという感覚のお客さまが大半」と南店長。
レジカウンターには免税制度を説明するシートを用意して、訪日客には消費税が免税できることを伝えている。制度を知らない人も多く、説明を聞いて消費税分がお得になると知って喜び、そのほとんどが免税を選ぶ。また、免税は5000円以上の購入が条件であるため、それに満たない場合は声掛けをしており、「もう一品」を買い足す買い物客も多い。そのため結果的に客単価が上がるという効果も生まれた。
店内での接客や掲示物については、もともと外国人客の来店が多いこともあり、免税店となって大きく変わった点はない。日本の買い物体験を楽しんでもらうため、日本語で「いらっしゃいませ』と応対するし、店内の掲示物は英語や中国語の表記もあるが、POPはあえて漢字を使っている。
ただ商品説明などが必要な場合に備えて、英語と中国語が話せるスタッフが各3名いる他、スマートフォンに翻訳アプリを入れたり、翻訳デバイス「ポケトーク」を用意したりと準備は怠らない。
また「街全体で外国人客をおもてなししたい」という南店長の思いから、客の求める商品が店にない場合は、それを置いている他店を教えることもある。

海外への情報発信、キャッシュレス対応などオリ・パラ準備も万全

渡航前に調べて来店する訪日客が多いことから、ウェブによる情報発信も行う。ホームページに海外向けのページを設けるとともに、最近は、旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」も活用。AKIBA観光協議会が作成する英語・中国語版エリアマップにも掲載している。

また一般的には「店内撮影不可」のお店が多いのだが、この店は「撮影可能」。SNSによる情報発信の効果を狙っている。

訪日客を呼び込む上で必須のキャッスレス対応も、欧米人の利用が多いクレジットカード、中国人がよく使っているAlipayやWeChatPay、さらに交通系などのICカード、PayPay、LINE Payなども導入済みで、準備万端だ。

現在、店の売上高の約3割が外国人客によるもの。南店長は、「オリンピック・パラリンピックに向け、その割合はもっと高まると思うが、大会の1年前に免税店化を実現したことで、準備期間も十分。スムーズに対応ができる。」とさらなる売り上げ増に自信をのぞかせる。