2021/1/13

石川酒造【趣あふれる建物と英語ツアーが好評の老舗酒蔵】

外国人旅行者数が増加を続ける中、インバウンド需要を確実に取り込むことは、観光産業にとってますます重要になっています。
都市の観光関連事業者におけるインバウンド対応の好事例をシリーズで掲載します。

Success Point

接客・接遇

外国人旅行者の習慣や趣向に合わせた品揃えやサービスなどのほかは、普段通りのおもてなしが喜ばれています。

多言語対応

多言語メニューや価格表などを用意したり、AI通訳機を活用することで、円滑なコミュニケーションを図ります。

集客・プロモーション

外国人旅行者の口コミサイトへの投稿を促すような工夫や、ツアー会社を活用して団体旅行者を取り込むといった対策が効果的です。

免税・キャッシュレス

免税対応を行ったり、クレジットカードやモバイル決済に対応することが外国人旅行者の消費を促します。

名称 石川酒造
業種 小売
住所 東京都福生市熊川1
URL http://www.tamajiman.co.jp/

文久3年創業。敷地内で精米、仕込み、熟成のすべてを行い、ビールも製造。国の登録有形文化財に指定された建造物を6棟有す、歴史ある「石川酒造」。英語での酒蔵見学ガイドを担当する広報担当の畠山快子さんにお話を伺った。

接客・接遇

外国人旅行者からの意見を取り入れて
随時内容を改良し、満足度の高いツアーガイドを

参加者の意見を取り入れ内容の改良を図る

「石川酒造」が、平成24年に英語でのガイドツアーを開始するにあたり採用されたのが今回お話を伺った畠山さんだ。「ツアーは1日1〜2回で参加者は多いときは1回40名くらいとさまざま。無料で酒蔵見学をしてもらいながら、酒造りの歴史や工程をお話しし、売店で試飲もしていただきます。東京駅から電車で約1時間もかかる福生まで、わざわざ足を延ばしていらっしゃるほどなので日本酒に興味がある方が多く、期待度も高いです。日本人に比べて質問も多いため、質疑応答の時間も含めて40〜50分くらいのツアーを行っています」。

外国人旅行者の多くはホームページやSNSなどから情報収集をしたり、ホテルに置かれたフリーペーパーやホテルのコンシェルジュからの紹介で訪れている。酒蔵見学には事前の予約が必要だが、ホームページの英語版から簡単に申し込みができるようになっている。その後のやりとりは畠山さんが担当している。「ツアーでは、実際に職人が酒造りをしているところは見られないのですが、それが“物足りなかった”という声があったので、そういったことは事前にきちんとお伝えするようにしています。その代わり当日は写真などを使って酒造りの工程を説明しています」。

ほかにも、回数を重ねる中でガイドの内容を改良してきた。「例えば、酒は米からできているなど、日本では常識とされていることをご存じない方もいらっしゃいます。そのため、できるだけ基本的なところから丁寧に説明するよう心がけています。一方で、洋酒の知識は豊富な方が多いので、ワインやビールの製造過程と比較しながら説明すると、スムーズに理解していただけます」。

随所で対話を織り交ぜながらガイドをしている

パンフレットと英語ツアー用の資料。
英語版の資料は外国人旅行者の意見を参考に
畠山さんが作成した

石川酒造における平成30年度の外国人旅行者の
英語ガイドツアーの参加人数

多言語対応

QRコードやプライスカードで、
英会話が苦手なスタッフの負担軽減

日本酒の文化を世界中に広めたい

現在、石川酒造で英会話ができるスタッフは畠山さんのみ。不在の時間や、予約なしで訪れた外国人旅行者には、QRコード付きのパンフレットを渡して敷地内を散策してもらうように案内している。「スマートフォンでQRコードを読み込むと、酒蔵やご神木、井戸など敷地内7ヵ所の見どころの説明が英語で表示されます。ガイドツアーに参加しなくても、施設の概要を知ってもらえるようにと配布を始めました」。

平成30年に導入し、同じ頃、ホームページの英語コンテンツも充実させた。「効果は大きく、海外からのお客様は右肩上がりに増え続けています」。さらに売店では、アルコール度数や容量などを英語で併記したプライスカードも用意。敷地内にあるレストランでも英語のメニューを用意するなど、英会話が得意ではないスタッフにも負担にならない取り組みとなっている。

さまざまなインバウンド対策を行っているが、いずれも売り上げアップが第一の目的ではないという。「社長をはじめ、スタッフひとりひとりが、日本酒文化を世界に広めたいという気持ちでこの酒蔵ツーリズムを行っています。これからも、さらに喜んでいただけるサービスを考えていきたいです」。

QRコード付きパンフレットは、インバウンド向けツールを
制作する会社に委託して作成したもの

日本語の表記の下に度数や容量を英語で記したプライスカードを添付


Another Eye 外国人旅行者に聞きました!

日本を訪れるのは2回目だそう

丁寧な英語ガイドと美味しい日本酒ににっこり

ともにお酒が好きだというオーストラリア人カップル。「こちらを訪れた人のブログを読んで来ました。ほかにもいくつか候補はありましたが、英語のツアーガイドがあることと、ビールも造っていることが決め手になりました。広大な敷地と歴史を感じる建物がとても素晴らしく、英語の説明も丁寧で興味深くて楽しかったです。試飲した日本酒がとても美味しかったので、お土産に購入します」と笑顔で話してくれました。


ここがポイント!

point 01

英語での酒蔵ツーリズムの開催

point 02

QR Translatorによる多言語解説の導入

point 03

プライスカードに度数や容量を英語で併記

出典:東京インバウンド好事例集/東京都産業労働局