2021/1/20

日暮里繊維街【気軽に手に取れる英語版マップが好評】

外国人旅行者数が増加を続ける中、インバウンド需要を確実に取り込むことは、観光産業にとってますます重要になっています。
都市の観光関連事業者におけるインバウンド対応の好事例をシリーズで掲載します。

Success Point

接客・接遇

外国人旅行者の習慣や趣向に合わせた品揃えやサービスなどのほかは、普段通りのおもてなしが喜ばれています。

多言語対応

多言語メニューや価格表などを用意したり、AI通訳機を活用することで、円滑なコミュニケーションを図ります。

集客・プロモーション

外国人旅行者の口コミサイトへの投稿を促すような工夫や、ツアー会社を活用して団体旅行者を取り込むといった対策が効果的です。

免税・キャッシュレス

免税対応を行ったり、クレジットカードやモバイル決済に対応することが外国人旅行者の消費を促します。

名称 日暮里繊維街
業種 小売
住所 東京都荒川区東日暮里5-33-10
URL http://www.nippori-senigai.com/

生地の問屋街として近年、外国人旅行者にも大人気の「日暮里繊維街」。大正初期から日暮里・三河島エリアで栄え、現在60社90店舗が立ち並ぶ生地の街となった。東京日暮里繊維卸協同組合の理事長・浜浦章雄さんにお話を伺った。

集客・プロモーション

東京日暮里繊維卸協同組合で英語版マップを制作
年間6万部を組合店舗、観光案内所などに設置

地図裏面には各店の取扱商品も掲載

お話を伺ったのは、東京日暮里繊維卸協同組合の理事長である、株式会社エレガンスの社長、浜浦章雄さん。近年、日暮里繊維街が外国人旅行者に人気の理由をこう説明する。「海外には生地の小売店が少なく、上質の生地を必要なだけ買える場所がなかなかない、という事情があり、もともと知る人ぞ知るという感じで外国の方もちらほら見えていました。当社では、主にイタリア製やフランス製の生地を仕入れていますが、イタリアの方がうちでイタリア製の生地を買っていかれたこともありました」。

浜浦さんが外国人客の増加を実感したのは5〜6年前からだが、実は10年ほど前から、組合の宣伝部により英語版「にっぽり繊維街まっぷ」を作成してきた。毎年更新しながら年間6万部を刷り、近隣の宿泊施設、公的観光案内所など、外国人旅行者が道を尋ねてきそうな場所には積極的に配布している。日本語版10万部とともにすぐなくなり、催促されて納品するほど需要は高い。

「日暮里繊維街として積極的に海外に広報発信しているわけではありませんが、実際に訪れた外国人客がSNSで発信してくれることで海外でも有名になりました」。旅行者のみならず、近年は、中国や欧米、中東、モンゴルなどからのビジネスでの来店も増加している。

トイレが使える店舗の店頭には共通の表示が

日本語版をもとに英訳された繊維街全体が見てとれるマップ。飲食店の場所もわかる

「日暮里繊維街」における全体の客数に占める外国人客の割合

接客・接遇

中には、ミャンマーのロンジーに特化したお店も
AI通訳機の活用でコミュニケーションを図る

積極的に声をかけコミュニケーションを図る

最近ではSNSで日暮里繊維街を知り、「日本のキャラクターとコラボしたリバティプリントの生地が買いたい」など、目的を持って訪れる外国人客も増えている。組合の定例会でも外国人接客の英語講座を開催したり、英語版の組合ホームページを制作中など、組合全体でインバウンド対応への意識を高めている。

荒川区の補助金を活用してAI通訳機を設置する店舗も増えてきており、現在二十数件が接客に使用している。また、トイレが使える店舗の店頭に多言語でのトイレ表示をするほか、割引の案内を英語表記するなど各店ができることを独自に実行している。現在はイベント期間や各店舗で開催しているワークショップを、今後はいつでも体験できるようにしたいと考えているという。「とにかく声をかけること。日本人も外国人も壁を作らず、日暮里繊維街を訪れる皆さんに気持ちよく楽しんでほしい」と浜浦さん。

日暮里繊維街には商材を完全に外国人向けにする店舗も登場し、「ミハマクロス」はその代表例。ミャンマーから民族衣装のロンジー用に買い求める客が増えたため、日本製の生地の中でも人気の和柄のみを豊富に揃え、長さもロンジー用ワンサイズに裁って袋詰めし、手軽に買える棚を作っている。来店は約9割が外国人。レジ前には、ミャンマー語とネパール語で「ありがとう」と手書きで表示している。

平日でも観光客で賑わう日暮里繊維街

「ミハマクロス」店主自ら調べたミャンマー語、ネパール語、中国語の挨拶

日本の四季が色とりどりに表現された花の和柄がミャンマーの人に人気


Another Eye 外国人旅行者に聞きました!

スイス人の奥様とドイツ人のご主人のカップル

丁寧な英語ガイドと美味しい日本酒ににっこり

目移りするほどデザイン豊富 まとめ買いしていきます
「わたし(奥様)が裁縫の仕事をしているので、ガイドブックで調べた日暮里繊維街には絶対に来ようと思っていました。ここが日本観光の最大の目玉です。英語マップも観光案内所でもらいましたよ。富士山、花など日本らしい柄が好きですが、ミハマクロスにはいろいろあって目移りしそう。ワンサイズなので使い方も想像しやすいですね。ベッドルームやカウチのカバーにも使いたいです」と満足げだった。


ここがポイント!

point 01

商店街マップの英語版を作成し、需要に合わせて配布

point 02

外国人に積極的に声をかける。AI通訳機の導入も

point 03

外国人の好みに合わせた品揃えを展開する工夫も

出典:東京インバウンド好事例集/東京都産業労働局