2021/2/10

旅館 浅草 指月【日本文化を体験したい欧米人が長期滞在する旅館】

外国人旅行者数が増加を続ける中、インバウンド需要を確実に取り込むことは、観光産業にとってますます重要になっています。
都市の観光関連事業者におけるインバウンド対応の好事例をシリーズで掲載します。

Success Point

接客・接遇

外国人旅行者の習慣や趣向に合わせた品揃えやサービスなどのほかは、普段通りのおもてなしが喜ばれています。

多言語対応

多言語メニューや価格表などを用意したり、AI通訳機を活用することで、円滑なコミュニケーションを図ります。

集客・プロモーション

外国人旅行者の口コミサイトへの投稿を促すような工夫や、ツアー会社を活用して団体旅行者を取り込むといった対策が効果的です。

免税・キャッシュレス

免税対応を行ったり、クレジットカードやモバイル決済に対応することが外国人旅行者の消費を促します。

名称 旅館 浅草 指月
業種 宿泊その他
住所 東京都台東区浅草1-31-11
URL http://www.shigetsu.com/

浅草・雷門の仲見世通りから一本道を入ると、喧騒から一線を画す静かな日本旅館「指月」がある。初めて外国人客を泊めたのは45年前。いち早くインバウンドに対応した旅館づくりを代表の飛田克夫さんに伺った。

多言語対応

外国人宿泊客の予約の多くがインターネット経由
東京都の補助金を活用して英語のサイトを作成

外国人宿泊のための客室条件を満たすよう改装

浅草で日本旅館を営み80年の「指月」が、外国人客の宿泊を受け入れるため政府登録国際観光旅館の資格を得たのは1990年代半ば。外国人客がまだ珍しかった時代に、二代目の飛田克夫さんが将来を見越して決断した。木造二階建てから現在の六階建てビルに建て替え、各室に椅子とテーブルを置き、バス・洋式トイレ付きにするなど、外国人客が使いやすい客室に改装した。

さらに、Wi-Fiも「ゆくゆくは不可欠になる」と普及し始めたばかりの2000年代前半に工事に着手し全館Wi-Fi完備へ。それから約10年後には、ほとんどの外国人旅行者が宿泊予約をインターネットで入れてくるようになり、ホームページの重要性を感じて、英語版のホームページを東京都と東京観光財団が実施するインバウンド対応力強化支援補助金を活用して作成した。

昨年は和室の説明、和食の紹介、箸の持ち方などをわかりやすく解説したイラストと英文のパンフレットのほか、浴衣の着方を図で丁寧に解説したリーフレットも用意した。理由は、「昔は仲見世に浴衣で出ていたものですが、今はせめて館内では浴衣で歩いてほしい。外国のお客様はうれしそうに浴衣を着て食堂にお見えになりますので、正しい着方をお伝えするのは当然」と飛田さんは考えている。

床の間や畳に敷く布団は多くの外国人にとって初体験となる

このパンフレットを参考に外国人客は浴衣や
展望風呂に挑戦する

全館で利用可能なフリー(無料)Wi-Fiは
外国人旅行者に喜ばれている

接客・接遇

日本に来てまでどうしてベッドに寝るの?
その言葉を受け「日本文化」の発信を信条に

日本文化の集大成である日本旅館を楽しんでもらう

「日本旅館は、畳やふすま、障子など日本文化の衣食住の“物語”を体験していただける場所」と飛田さんは語る。その背景には、「『日本に来てまでどうしてベッドで寝なければならないの?』という欧米のお客様の意見や、洋室より和室を多く求められる現実から、外国人客が本当に欲する日本のおもてなしとは何かという長い考察がありました」。建て替え当初は7室あった洋室も、現在はシングル3室にとどめ、ほか18室は和室に改装した。

現在4名いるスタッフは英会話可能なことを条件に採用し、客室では靴を脱ぐこと、館内は浴衣で良いことなどをチェックイン時に説明する。その際、イラストと英文のパンフレットが喜ばれる。「多くの場合、来日して最初の宿泊地は東京です。ここ東京で日本旅館に滞在し、日本文化を真っ先に味わってほしい」。

宿泊客は約95%が外国人客で、4〜5泊の長期滞在が多い。国籍は欧米が中心。予約は主にインターネット上の宿泊予約サイトから。宿泊予約サイトは種類も様々なので、飛田さんは「旅館が求める顧客層と最も合致するサイト」に絞って活用している。安定的に部屋を埋めるためには、需要と供給がマッチする宿泊予約サイトを見極める点もコツとなる。

「旅館 浅草 指月」における
全体の客数に占める外国人客の割合

英文パンフレットと英会話で
わかりやすい接客を

スタッフの和装風の制服も好評。
荷物を持って客室まで案内する


Another Eye 外国人旅行者に聞きました!

宿泊予約サイトで見て日本らしさにひかれたという

典型的な日本旅館に泊まりたかった!すべてが楽しみです

オランダ・アムステルダムから来日したご夫婦。「予約サイトの写真を見て気に入り予約しましたが、想像していた通り典型的な日本旅館でうれしい。畳、布団、ふすま、風呂などすべてを楽しみたいです。和装のスタッフがフロントから部屋まで案内してくれて驚きました。今回は2カ月かけて日本各地をまわる予定で、今日が旅の初日。きれいな布団でゆっくり休めそうです」と話してくれた。


ここがポイント!

point 01

東京都の補助金でホームページを多言語対応に

point 02

浴衣や部屋の使用法を英語で説明し日本文化を堪能してもらう

point 03

外国人旅行者をターゲットに宿泊予約サイトを活用

出典:東京インバウンド好事例集/東京都産業労働局