2021/3/10

新島村商工会(式根島)【補助金を活用し、外国人旅行者の受け入れを強化】

外国人旅行者数が増加を続ける中、インバウンド需要を確実に取り込むことは、観光産業にとってますます重要になっています。
都市の観光関連事業者におけるインバウンド対応の好事例をシリーズで掲載します。

Success Point

接客・接遇

外国人旅行者の習慣や趣向に合わせた品揃えやサービスなどのほかは、普段通りのおもてなしが喜ばれています。

多言語対応

多言語メニューや価格表などを用意したり、AI通訳機を活用することで、円滑なコミュニケーションを図ります。

集客・プロモーション

外国人旅行者の口コミサイトへの投稿を促すような工夫や、ツアー会社を活用して団体旅行者を取り込むといった対策が効果的です。

免税・キャッシュレス

免税対応を行ったり、クレジットカードやモバイル決済に対応することが外国人旅行者の消費を促します。

名称 新島村商工会(式根島)
業種 宿泊その他
取材先 新島村商工会
取材先住所 東京都新島村本村5-1-15
URL https://niijima.or.jp/shokokai/

エメラルドグリーンの海と緑鮮やかな森林が広がり、自然豊かな島として人気の観光地「式根島」。県内の地域振興について尽力している新島村商工会の下井勝博さんに、さまざまなインバウンド対策について伺った。

接客・接遇

商工会が手続きなどを支援し、
各事業者の負担を軽減したことが成功のカギ

外国人はもちろん日本人にも好評の和洋室

人口約500人という小さい島ながら、毎年多くの旅行者が訪れる「式根島」。下井さんは平成27年から、島内のインバウンド対策に取り組んできた。「島内には老朽化してきた店舗や宿泊施設も多く、『インバウンド対応力強化支援補助金』を活用し、和洋室や洋式トイレにリフォームすれば、外国人はもちろん日本人のお客様にも喜んでもらえると考えました」。

現在、島内の飲食・宿泊施設のほぼすべてが洋式トイレに。さらに「民宿きろく」では、平成30年に和室1部屋を和洋室に改装した。「平成28年に外国人のモニタリングツアーを行ったんです。布団は目新しいので、1日目は喜んでくれますが、2日続くと腰が痛いという声が多くあがり、対策を練らないといけないと痛感しました」と下井さんは話す。改装後は、外国人旅行者はもちろん日本人旅行者にも評判がよく、和洋室を指定するリピーターも増えているという。

同じく和洋室にリフォームした「湯ったり宿ひだぶんGH」では、これをきっかけに、外国人に人気の高い、低価格の相部屋宿泊スタイルを導入。共用のミニキッチンを設置して食事の提供もなくすことで、「今まではすべてを切り盛りしていたオーナーの負担が減ったほか、ひとり旅の宿泊者が増え、宿泊者同士の交流促進につながっています」と笑顔で語る。

下井さんが事業者ひとりひとりに声をかけ、細かな事務作業まで支援したことも成功の秘訣だ。「式根島の事業者さんは高齢の方も多く、新しいことを始めるのはハードルが高い。でも商工会が音頭を取り、図面の作成や申請手続きを手伝うことで、皆さんに前向きに考えていただけました」。地域コミュニティーを活かしたインバウンド対策だ。

インバウンド対応力強化支援補助金について
https://tcvb.or.jp/jp/project/infra/welcome-foreigner/

外国人旅行者から人気の高い温水洗浄便座付き

くつろげる畳を残しつつ、板間にベッドを設置

接遇・キャッシュレス

SNS投稿や客単価の増加など、
予想以上の効果を生んだWi-Fi導入

外国人講師を招きマナーや習慣を学ぶ

式根島では、インバウンド対策として平成27年から飲食店や宿泊施設にWi-Fiを導入。現在ではほぼすべての施設で使うことができるようになった。「スマートフォンから、島に関するSNS投稿がぐんと増えました。式根島には美しい自然が多いので、皆さん写真を撮ってすぐ投稿されます」と下井さんは話す。

さらにWi-Fiを導入したことで、クレジットカードや電子マネーなどキャッシュレスでの支払いの導入が進み、利用可能な店舗が増加。これが思わぬ効果を呼んでいる。「旅行者の方たちが島で使う金額が増えたんです。これまでは現金しか使えない店がほとんどだったので、皆さん持ってきた現金の金額しか使えなかったんですよね」。

さらに島では定期的に、外国人の講師を迎えた講習会も事業者向けに開催。「英会話や語学で学ぶというより、マナーや習慣の違いを知ってもらいます。外国人旅行者へのサービス向上につながっています」と下井さん。また、各施設で英語表記のメニュー表を用意したりタブレットの翻訳アプリを使ったりと、インバウンド対策は着実に進んでいる。

ラーメンが人気の「サンバレー」では、英語のメニューを用意

電子マネー決済や翻訳アプリに便利なタブレット


Another Eye 島内のスタッフの声

「湯ったり宿ひだぶんGH」の肥田光代さん

ドミトリータイプが好評 洋式トイレも快適、便利の声

「湯ったり宿ひだぶんGH」のオーナーに外国人旅行者の感想を聞くと「ドミトリータイプが好評で、キッチンなどの共有スペースで宿泊客同士の交流も生まれ、より滞在を楽しんでもらえています」とにっこり。そのほかの飲食店からは「和式トイレは使いづらかったようで、洋式にリフォームしたらとても喜んでくれました」「これまで以上にトイレをきれいに使ってくれるように」などの声があがっている。


ここがポイント!

point 01

東京都の補助金を活用して施設をリフォーム

point 02

商工会が各事業者のインバウンド対策を支援

point 03

Wi-Fiを導入したことでSNSでの口コミが増加

出典:東京インバウンド好事例集/東京都産業労働局