2021/11/1

まちづくり松山【松山に日本初の事業協同組合設立による免税一括カウンターがオープン!】

愛媛・松山観光インフォメーションセンター店内写真  出典:まちづくり松山

2021年5月、松山市の中心市街地に位置する松山三越1階に、「愛媛・松山観光インフォメーションセンターだんだんinfo」がオープンしました。この施設は、観光案内や通訳、外貨両替などのサービスのほかに、提携する複数の商店街の店舗で買い物をすると免税手続きができる、愛媛県初の免税一括カウンターも設置されています。そこで今回は、この事業を仕掛けた「まちづくり松山」の加戸社長と、事業部・井上さんにご登場いただき、設立の経緯や、今後の展望などをお伺いしました。

株式会社まちづくり松山 事業部 井上 直人さん

-まずは松山の観光事情と、インバウンドの状況についてお聞かせください。

井上さん:松山のまちは、道後温泉や松山城といった観光名所のほか、中心市街地に軒を連ねる多くの商店街や商業施設、さらに駅や空港、港など、すべてが近くに密集している、利便性抜群のコンパクトシティです。松山空港には中国、韓国、台湾からの直行便が就航しており、アジアを中心とした外国人観光客の方々に数多く訪れていただき、またコロナ以前は港にクルーズ船も寄港していたため、近年は欧米からの観光客の方々も増えておりました。観光地にほど近い道後商店街やロープウェー商店街などで土産物を購入いただく方も少なくありませんが、一方で中心市街地にある銀天街商店街、大街道商店街、まつちかタウンなどで、生活用品などを購入いただく方も多くいらっしゃいます。

-このたび日本で初めて事業協同組合設立による免税一括カウンターをオープンされたそうですが、ここに至るまでにはどのような背景や課題があったのでしょうか?

井上さん:いよぎん地域経済研究センターが外国人観光客を対象に実施したアンケート調査によると、外国人が買い物をする場所は百貨店やドラッグストアが中心で、免税実施率は8割を超えること、また外国人の約7割が買い物をするとき、その店が免税店であるかどうかを意識していることが分かりました。一方で、商店街には老舗の呉服店・茶道具やお香など、日本らしさを感じられる店舗も数多くあるのですが、そういった店舗の多くは事業規模から考えて、個別に免税手続きを行うのは難しいという現実があります。そこで我々が代わりに免税手続きを実施することで、商店街を中心に外国人の周遊性をより一層高め、賑わいの創出・消費喚起に繋がるのではないかと考え、免税一括カウンターを設置いたしました。

-免税一括カウンターを含む「愛媛・松山観光インフォメーションセンターだんだんinfo」について、ご紹介ください。

井上さん:松山三越1階に設置された「愛媛・松山観光インフォメーションセンターだんだんinfo」は、観光案内所、免税一括カウンター、通訳サービス、外貨両替など、さまざまな機能を兼ね備えています。免税カウンターは、提携する商店街の店舗で土産物などを購入いただいた際、購入額が複数店で計税抜5000円以上になれば、レシートの持ち込みで消費税分を返金するという仕組みです。また外貨両替は、16カ国の外貨に対応。さらに各国の言語に対応したスタッフや翻訳機も備えているので、外国人観光客の方々に気軽にご利用いただけます。その他にも、手荷物預かり・宅配サービスや、無料wi-fiサービス、スマートフォンの充電サービスを提供したり、観光検索にご利用いただけるタブレットを設置するなど、お客様の多様なニーズにお応えできる観光拠点となっています。

株式会社まちづくり松山 代表取締役 加戸慎太郎さん

-今回、免税一括カウンターを含む「愛媛・松山観光インフォメーションセンターだんだんinfo」を設立された株式会社まちづくり松山とは、どのような組織でしょうか?

加戸さん:まちづくり松山は、松山市全体の活性化と拠点連携の推進を目的に、2005年に設立された会社です。中心市街地の商店街組合のほか、地元金融機関や、伊予鉄道、松山商工会議所、松山市などが出資し、「みんなでつくろう松山のまち」の合言葉の下、人々の思い出が集積する“まち”の活性化事業に取り組んでいます。具体的な事業内容は、商業振興、地域都市開発、観光振興の主に3本柱です。なかでも今回ご紹介する「愛媛・松山観光インフォメーションセンターだんだんinfo」の設立は、観光振興の重要施策の一つとして、商店街が一致団結して取り組んできました。

-加戸さんご自身は、どのような経緯でこの活動に取り組み始めたのでしょうか?

加戸さん:もともと私は東京で外資系の証券会社に勤務しており、12年前に家業の紳士服店を継ぐために松山に戻ってきたのですが、最初に感じたのは商店街の衰退ぶりでした。今後人口が減っていけば、経済はますます落ち込み、商店街の衰退は加速するでしょう。そうなると外貨の獲得は必要不可欠となります。しかし一方で、肝心の観光振興に関しても、当時は商店街の足並みが揃っておらず、施策やコンテンツもバラバラに行われており、あまりうまくいっていない状態でした。そんな中、危機感を抱いた私は、商店街の再生に尽力することを決意。2014年に縁あってまちづくり松山の社長に就任すると、以降、インバウンド対策を強化すべく、ピクトグラムや多言語に対応したタッチパネル式のデジタルサイネージを各地に設置するなど、さまざまな改革を進めてきました。

-免税一括カウンター設立に至るまでに、特にご苦労されたことや、ハードルとなったことは何でしたか?

加戸さん:やはり一店舗ずつ回って、説明するのに苦労しました。そもそも免税が必要な店舗は、個別に導入しているんです。難しいのは、そうでない店舗に対して必要性を伝え、納得いただくこと。外国人観光客の誘致のために、免税店を増やすことがいかに重要か、さらに免税一括カウンターを設置することで、各店舗にいかにメリットがもたらされるか。そういったことを理解いただくために、各店舗に働きかけ、対話を繰り返してきました。今年5月に、ようやく免税一括カウンターのオープンに漕ぎつけることができましたが、こうして形になったのも、商店街の皆さんのご理解やご協力、人と人との繋がり、そして弊社スタッフの意気や地道な努力の賜物だと感じています。

-最後に、今後の課題や展望をお聞かせください。

加戸さん:外国人観光客が楽しみにしていることは、買い物と食べ物、そして非日常的な体験の3つです。つまりインバウンドによる地域活性化は、これらの3つの要素が鍵になると言っても過言ではありません。そういう意味でも、多くの外国人観光客の方々に、松山のまちでショッピングやグルメ、非日常的な体験を満喫していただき、良い思い出を作っていただければと願っています。そしてそれを実現するためには、お迎えする私たち自身が、常に人に優しくあり続け、人と人との繋がりを大切にし、同時に一人ひとりがまちづくりのプレイヤーになることが重要です。今後もそういったことが叶えられる人やモノや場所を増やしていければと思っています。

松山中心市街地にある商店街 出典:まちづくり松山