2021/11/29

しもきた商店街振興組合【世界で最もクールな街、下北沢の商店街が店舗ごとの免税手続に取り組む】

下北沢駅前再開発に伴い仮設となっている案内所と商店街内フラッグ。

“世界で最もクールな街”として近年外国人観光客にも人気の下北沢。なかでも駅北口に位置し、狭い路地に多くの商店が密集する「しもきた商店街」は、賑わいある雰囲気の中、そぞろ歩きが楽しめる下北沢を象徴するエリアの一つです。そんな「しもきた商店街」では、2016年から免税専用端末機器を利用して、その場で対面の免税の手続完結できるサービスを開始しました。商店街が一般型免税店方式のサービスを一括して導入するのは全国で初のケースです。そこで今回は、「しもきた商店街振興組合」の理事長で、かつ広域の「下北沢商店連合会」会長も務める柏雅康さんに、取組に至った経緯や成果などをお話いただきます。

しもきた商店街振興組合 柏理事長

-下北沢の街について簡単にご紹介ください。

柏さん:戦後、駅前食品市場を中心に生鮮三品のまちとして栄えた下北沢は、70年代以降、洋服屋や雑貨屋、美容室、小劇場、ライブハウスなどが徐々に増えていき、やがて現在のような若者文化が溢れる街へと変貌していきました。そんな下北沢をひと言で例えるなら、“おもちゃ箱のような街”だと思います。ファッション、音楽、演劇、サブカル、グルメなど、さまざまな魅力が詰まっており、訪れる人によって楽しみ方が異なるのが特色です。街全体の店舗数は1000以上を数え、その中には私が理事長を務める「しもきた商店街」をはじめ6つの商店街が存在。さらにその6つの商店街が「下北沢商店連合会」を形成しています。

-コロナ以前のインバウンドの状況はいかがでしたか?

柏さん:下北沢の街は2013年に「ミシュラン・グリーンガイド」で1つ星に選出されたのを皮切りに、2014年にはアメリカのファッション雑誌「VOGUE」で「世界のクールな街15選」に、さらに2019年には世界で発行されている情報誌「タイムアウト」で「世界で最もクールな街」の2位に選出されるなど、近年世界的に注目が集まっており、アジアや欧米を中心とした外国人観光客の数も急激に増えてきています。特に下北沢独自の雑多な雰囲気に魅了される方が多いようで、通りのあちこちで外国人の方がカメラを構える姿が見られるのも、もはや見慣れた風景となりました。しかし街歩きを楽しむ方が増える一方で、爆買いができるタイプのお店が少ないなどの理由から、お金をあまり落としてもらえない傾向もあり、いかに消費に結び付けられるかが大きな課題にもなっていました。

-商店街全体で免税対応することになった経緯をお聞かせください。

柏さん:知り合いの中小企業診断士の方に勧めていただいたのがきっかけです。私自身、海外旅行が好きで、現地ではたくさん買い物をするのですが、どうせ同じものを買うのなら、免税できるお店で買ったほうがお得感があると常々感じていました。それは日本にやって来る外国人観光客も一緒だと思います。ちょうど同時期に、免税手続のサービス会社から免税専用端末を導入する提案をいただき、また端末の導入には国や世田谷区の補助金を活用できることも教えていただいたため、これは良い機会だと決断した次第です。

-商店街の免税サービスは一括免税カウンターが主流ですが、なぜ各店舗で免税対応をする一般型免税店方式を採用されたのでしょうか?

柏さん:計画した当時は、一括免税カウンターの設置は1つの商店街に1箇所しか認められておらず、下北沢のような広域の商店街では導入しづらい面がありました。また免税手続サービス会社の調査によると、「わざわざ移動して免税手続をするのは面倒」「購入した店舗で免税手続がしたい」といった声が非常に多く、店舗ごとに対応したほうがお客様の利便性は高まるのではないかと判断しました。

-計画した当初、店主の皆さんの反応はいかがでしたか? また準備段階でどのような取組をされましたか?

柏さん:免税店になれば売上アップが期待できることを説明しましたが、「現状のままでも特に問題ない」「税理士に相談したら反対された」「思ったより手続が煩雑そうだ」といった理由から、当初はあまり良い反応はなかったです。それでも商店街の未来のためにいかに重要な施策かを地道に説得して回りました。また勉強会も何度も開催しました。店舗によって出席できる時間帯や曜日が異なるため、午前、午後、夜と3つの時間に分け、さらに曜日も複数設定して行い、免税に対する理解を深めていただきました。そうした取組が功を奏してか、協力してくれる店舗も少しずつ増え、最終的には商店街の加盟店約150店のうち、25店舗が参加してくれることになりました。

免税対応されているお店の店頭にはTAX FREEの表示。店内のTAX FREE対応機器

-実際に免税の取組を始められて、どのような効果がありましたか?

柏さん:おかげさまで商店街全体としては、買い物される外国人観光客の数は確実に増えたと実感しています。ただし店舗ごとの売上げを見ると、成功した店舗とそうでない店舗では明確な差が出ました。やはり積極的に取り組んでいる店舗は、売上げが明らかに上がっています。一方、消極的な店舗については、そこまでの効果は聞いておりません。またそうした傾向は、免税以外の取組にも表れています。例えば利用可能なクレジットカードのステッカーを店内やレジ周りだけでなく、入店する前にわかるように入口やウインドウに貼っている店舗は、やはり外国人の方も入店しやすく、売上げが倍増しているそうです。このように店主の高い意識やちょっとした工夫で、効果は格段に上がっています。

-アフターコロナを見据えて、今後の展望や課題をお聞かせください。

柏さん:外国人観光客が再び増えてきた時に備えて、お迎えする体制をいかに整えておくかが課題となります。そうした中、大きな鍵となるのが宿泊施設です。今までの下北沢は宿泊施設が少なく、また新宿や渋谷に近いこともあり、外国人観光客の方々になかなか長時間滞在してもらえませんでした。しかし昨年以降、近隣にホテルや温泉施設がオープンし、また一時減っていた民泊の届出数も再び増えてきています。これにより滞在時間が延び、朝から夜まで下北沢の街で飲食や買い物を満喫していただくことも可能になるでしょう。私たち商店街もそういう形を期待しておりますし、そのための準備を進めていきます。

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