2018/12/28

「茶舗山年園」「こだわりや山年園」
【従業員全員がインバウンド需要獲得への思いを共有。免税のお声掛けで売上上昇。】

有限会社山年園は、おばあちゃんの原宿として名高い巣鴨地蔵通り商店街に2店舗を構える日本茶葉の専門店です。髙岩寺山門近くの「茶舗山年園」と「こだわりや山年園」で、2店舗とも免税店にしています。今回は専務取締役の塩原有輝さんに、免税店にしたきっかけや訪日客の状況、今後の展望を伺いました。

専務取締役 塩原有輝さん

-現在のインバウンドの状況を教えてください。

塩原さん:現状は、売上の3~4%が訪日客の売上といった状況です。しかし、商店街に来られる日本人客が以前に比べ減少している中、当社の売上は前年を上回っています。台湾や香港からのリピーターの方がほとんどですので、例えば歌舞伎の絵柄が印刷されたような訪日客向け商品ではなく、日本人が日常で使うような商品の方が好まれています。具体的には、日本茶葉や抹茶になります。

こだわりや山年園 日本茶葉コーナー

こだわりや山年園 抹茶コーナーの演出

-免税制度導入の経緯をお聞かせください。

塩原さん:2014年、ポスレジ導入の説明会に行ったのですが、その時に聞いたインバウンドのセミナーがきっかけでした。ちょうど、中国人旅行者の爆買いがTVを賑わせ、免税品としてお茶が解禁された頃だったので、免税店のお話を聞いた途端、これだ!と思いました。

-免税制度導入までの準備や、従業員の方々への説明についてお話しください。

塩原さん:機材等の追加は必要がなく、初期費用はありませんでした。申請費用がかかるのではないかと心配したのですが、こちらも無料でした。最初に導入した本店は、税務署に問い合わせたり、既に免税店にしている知人に聞いたりして申請しました。税務署の方は親切に教えてくれました。申請後の審査期間は1ヵ月ほどでした。
従業員への説明ですが、ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)の研修や、商店街のインバウンドの勉強会はもちろん利用しました。それから、インバウンドにかける自分の思いを、精一杯自分の言葉で伝えました。免税店になる前は、外国人のお客様がご来店されると奥に引っ込んでしまう従業員もいました。それで、山年園なりの接客マニュアルを作ったうえで、朝礼でメンバーに協力を求めました。おかげさまで、今では全員協力してくれています。

こだわりや山年園店頭 日本茶の試飲コーナー

– 免税制度導入前と導入後では売上げが変わりましたか?

塩原さん:英語の商品説明表示や接客ツールを準備したものの、導入直後は全く成果が出ませんでした。私は免税店にしたら、すぐに外国人のお客様がたくさん来ていただけるものと思っていましたが、フタを開けてみると半年間免税のお客様はいらっしゃいませんでした。初めて免税のお客様がいらした時は、手続きを忘れていて焦ってしまったほどです。

– 売上げが上昇に転じたきっかけは何だったのでしょうか?

塩原さん:巣鴨にいらっしゃる訪日客のことが分かってきて、対応を取ったことです。何度も来日され、ディープな東京を味わいたいお客様は、大げさな外国人向けの演出を好まれないので、演出を抑えめにしました。それから、王道のやり方ですが、3,000円くらいお買い上げのお客様に、「表示価格合計で5,400円以上お買い上げいただくと免税になります」と、お伝えすることにしました。カタコト英語で、「ファイブサウザンドオーバー、ウィキャンタックスフリー」です。正しいかどうか分かりませんが、このお声掛けをするとほとんどのお客様が買い足して、免税でお求め下さいます。販促も5,000円を意識して実施しています。

こだわりや山年園 5,000円以上お買い上げでの販促

– これまで免税店をされてきたご感想をお教えください。

塩原さん:のぼり旗で外国人にオープンな店だとアピールできて、売上げに繋がっています。税込みの通常販売と異なる点は、書類作成等の手続きがあることですが、他のお客様をお待たせしないように、配慮をしています。今は、接客のコツもつかめてきましたし、免税店になって非常に良かったと思っています。

茶舗山年園店頭 塩原さんも試飲で接客

– 今後取り組みたいことについてお聞かせください。

塩原さん:たまたま通りがかりにご来店いただくのではなく、山年園を目指してご来店されるお客様を獲得したいと考えています。そのため、台湾のウェブサイトを利用し、クーポンも作って誘客に取り組んでいます。訪日客は確実に増えていますし、幸い台湾や香港の方は茶葉を使ってお茶を飲む習慣があります。まずは、山年園の良さ、日本茶の良さを知っていただく取り組みを続けていきたいと考えています。